メビウスはアメリカのプラモデルメーカーだが、マニア以外に誰がこんなもん買うんじゃ、というようなモデルばかりを作ってる。
というより、そもそもそーいうモデルを作るためにマニアが作った会社。
「原子力潜水艦シービュー号」と言えば60年代に一世を風靡して、そして忘れられてしまったB級冒険SFドラマだが、その主役メカ・シービュー号のプラモデル。
お話はお粗末な子供だましストーリーが多かったが、シービュー号のデザインは素晴らしかった。艦首に巨大展望窓のある潜水艦など現実にはナンセンスなのだが、優雅な曲面を持つ巨大スタビライザー・フィンと相まって「これは未来の潜水艦なんだ!」というなんとも不思議な迫力と説得力があった。
そのシービュー号のスケール・モデルがリアルタイムで放映されていた60年代にはオーロラという会社から出されていたのだが、会社は倒産、金型は事故で失われてしまった。
このメビウスの1/350モデルはそのオーロラモデルと同じスケールで、金型から新たに製作したという。その意気やよし。
細部の噛み合わせなどはやや大雑把なところもあるが、全体のフォルムは完璧。かつて日本でもいくつかの会社からシービュー号のプラモデルが出たが、ここまでフォルムが文句なしなものは無かった。
本モデル以前に出された1/128モデルがデカ過ぎ・高過ぎ・難し過ぎという向きにお奨め。製作は難しくはないが、遊ぼうと思えばそれなりにディーテルのブラッシュアップも可能。
できれば4枚窓版だけでなく8枚窓版も欲しいもの。