商品説明
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内容紹介(出版社より)
説話文学研究は、どのような経緯を経てどのような現状にあるのか、そして今後どのような未来に向かっていこうとしているのか。六〇年の歴史の中で大きく方向性を変え、文学研究の中でも広く国際的・学際的方向に舵を取って進んできた、説話文学会。人文科学総体が危機を迎えているともいえる現在、その進路は果たして今後の指針となり得るのか。二〇二三年七月に開催された六〇周年記念大会を中心に、座談会やエッセイを加えて、それらを考える。現在の説話文学研究は、「説話」という概念自体の拡大と共に、文学研究の学際化に伴って、美術史・宗教史等々との境界を越えつつある。その最前線の様相を荒木浩・伊藤聡・肥田路美の三氏により紹介。シンポジウムでは、中国の仏伝文学である『釈氏源流』をとりあげ、小峯和明・吉原浩人・山本聡美・河野貴美子の四氏に加え、コメンテーターとして張龍妹・李銘敬の二氏により国際的かつ学際的な研究課題に取り組む。ラウンドテーブルでは、本井牧子・牧野淳司・恋田知子・高橋悠介の四氏に、研究の現状や課題をお話いただいた。座談会「説話研究の未来ー一〇〇年後の研究はありうるか?」ではハルオ・シラネ、渡辺麻里子、陸晩霞、趙恩?、小峯和明の各氏により語り合っていただき、ベテランから若手まで一四名によるエッセイも収録。新たな資料や視点を拒むことなく、変化流動しつつも前進してきた説話文学会とその研究の、過去・現在・未来を照らす書。執筆は、佐伯真一/荒木 浩/伊藤 聡/肥田路美/小峯和明/吉原浩人/山本聡美/河野貴美子/張 龍妹/李 銘敬/近本謙介/本井牧子/牧野淳司/恋田知子/高橋悠介/渡辺麻里子/陸 晩霞/趙 恩?/ハルオ・シラネ/高橋 貢/阿部泰郎/伊東玉美/石川 透/齋藤真麻理/杉山和也/田中貴子/目黒将史/森 正人/阿部龍一/Ivo SMITS/琴 榮辰/高 陽/PHAM Le Huy。
目次(「BOOK」データベースより)
1.講演会 説話の文学・美術・宗教(“裏返しの仏伝”という文学伝統ー『源氏物語』再読と尊子出家譚から/説話文学研究と宗教研究のはざまで/仏教美術の物語表現法)/2.シンポジウム 説話の文学・美術・宗教ー『釈氏源流』を軸に(仏伝文学としての『釈氏源流』/『釈氏源流』仏教東伝記事の歴史観と挿図の意味/造形語彙集としての『釈氏源流』-日本中世絵巻との接点を探る/『釈氏源流』を通してみる明代絵入り刊本の出版と流通)/3.ラウンドテーブル 説話文学研究ーつぎの六〇年に向けて(説話集研究の現状と今後/軍記物語研究と説話文学研究/説話と絵画をめぐる研究の動向と展望/説話の観点からみた能楽研究の動向と展望)/4.座談会 説話研究の未来ー一〇〇年後の研究はありうるか?(説話研究の「今は昔」-動向概略/説話の三極論ー「説話」の用例から探る/説話文学研究とは、何を研究するのか ほか)/5.エッセイ 説話文学会六〇周年に寄せて(説話文学会の設立時を回想して/説話文学研究の可能性ー過去・現在・未来の三世相、フィールドとテクスト/探し物と考え事ー現代の注釈の場 ほか)