商品説明
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内容紹介(出版社より)
刀工名家に生まれ、廃刀令後の明治に大工道具鍛冶として修行し、道具を実際に使う大工たちの絶賛によってゆるぎない地位を得た千代鶴是秀(1874-1957)。修業時代に師から使用者重視という製作思想の根幹を心に刻みつけられた是秀の、機能美の極致のような作品の中で、唯一ほかと異なるたたずまいをもつのが一群のデザイン切出小刀である。自由で流麗な意匠をまとったこれら切出群は、実用面からいえば使いにくく、道具が道具でなくなるギリギリの地点に位置する。抜群の切味を隠し持ちながら、使用されることを想定しない非実用の美。道具鍛冶として名声を得ながら、是秀はなぜ実用を犠牲にした美しいデザイン切出を作ったのか。著者は祖父、父と三代にわたる大工道具店を営む中で、長年、千代鶴是秀の作品に向き合ってきた。是秀からじかに教えをうけた父、土田一郎から伝えられた貴重な話や資料を手がかりに、朝倉文夫らとの交わりをはじめ、是秀の周囲の芸術家や文化人、職人たちの跡をたんねんにたどり、その作風変化の謎を時代という大きな背景の中でひとつひとつときほぐしてゆく。鑿や鉋、切出と深く対話するように。鍛冶文化の豊かさを伝えながら。
内容紹介(「BOOK」データベースより)
近代化の“外皮と骨格の矛盾”の中で、世の変化に侵食されてはならない技術の芯を守るために「最後の名工」がしかけた逸脱の試み。職人の道徳と誇りを描く。
目次(「BOOK」データベースより)
第1章 大工道具鍛冶、千代鶴是秀の修業時代(道具鍛冶への弟子入り/栗原信親の彫刻刀 ほか)/第2章 逸脱の始まり(旦那衆、栗原波月との出会い/栗原自作のケサン ほか)/第3章 試練の時(実用道具の運命ー磨滅・減退・消滅/アイヌのペーパーナイフ ほか)/第4章 職人の不器用、職人の道徳(大正から昭和はじめまでの身辺/名人大工、江戸熊の大入組鑿 ほか)
著者情報(「BOOK」データベースより)
土田昇(ツチダノボル)1962年、東京生まれ。土田刃物店三代目店主。父・土田一郎より引き継いだ千代鶴是秀作品の研究家であるとともに、木工手道具全般の目立て、研ぎ、すげ込み等を行う技術者でもある。竹中大工道具館(神戸)の展示・研究協力。ものつくり大学技能工芸学部、非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)