数ある録音の中で最高。ブラームスの最高傑作、彼の重厚な傑作群の中でこれ程に純粋に美しい天上の調べが聴ける曲はない。大好きな曲なので古くはモノのブルーノ・ヴァルターに始まり、初演の場であるブレーメンの大聖堂で収録（ヴォルフガンク・ヘルビッヒ指揮/独逸ドブリンガーハウス・グリム盤）したものを含む二十種類以上を楽しんでいるが、もう二十年以上聴き続けているコッホ盤が最高だ。特に六楽章、七楽章の素晴らしい合唱と、これを支える管弦楽の響合いは将に天上の調べ、彼の白鳥の歌とも言える作品１２１の衆讃前奏曲集の一種の息苦しさは微塵もなく、只々天上の調べをこれ程までに美しく、且つ暖かく演奏した録音は無いのではないか？僕は２００９年にルツェルン復活祭音楽祭でハイティンク指揮で聴いいたが期待倒れだった。それ程に合唱とオケのバランス等、演奏が難しい曲なんだろう。残念ながら僕は現在まで実際の演奏会でコッホ盤ほど美しいドイツ鎮魂曲を聴いていない。

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野火止林太郎

暫定ベスト盤！

2007年12月5日に日本でレビュー済み

『ドイツ・レクイエム』には「これぞ！」という名盤がない。
演奏自体は、ハンス＝マルティン・シュナイトのシュナイト・バッハ管他が一番優れている。しかし、合唱、録音など総合的に言うと今ひとつ。
チェリビダッケ盤は第3楽章のコーダ「永遠のＤ」のいつ果てるとも知れぬ偉容が冠絶であるが、やはり全体的にはテンポに問題がある。
最近のラトル盤はその「Ｄ」がセカセカと腰が軽く、それまでの豊かな響きを台無しにしてしまった。
ケーゲル盤は最後の一歩の踏み込みが弱い。バレンボイム盤はスーッと聴くとよいように思えるが、ここには＜独逸鎮魂歌＞はない。クレンペラー、カラヤンなどはいずれも×。
シューリヒトですら、「カール！　お前もか」だ。コルボのは「フォーレとちゃうで！」。
古楽器系はすべて問題外。耳が汚れるとさえ言っておこう。

そうしたなかで、合唱の渋くもスケールの大きい響きでコッホ盤が浮上する。全てにおいてベストとは言えないが、新たにリマスターされたこの往年の名盤にやはり指を折るしかなさそうだ。それにしてもこの合唱には感心する。

シュナイトは来年４月に同曲でライブをやる模様。オケ、合唱団も２回目ということで大いに期待できる。

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ブラームス:ドイツ・レクイエム

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